『常識をくつがえせ! 小さいは、強い 町の電気屋 VS 巨大量販店1450日の攻防』 江藤 健続

こんにちは、あっきーです!

『九州の某地方都市で昭和の時代からつづく町の小さな電気屋に、ある日一枚のチラシがとどきました。それは、道路を隔てたすぐ目の前の空き地に、巨大な家電量販店が建設されるという知らせでした。創業50年目にして訪れた最大最悪の危機。片やスタッフわずか10名足らずの零細企業、片や日本最大級の家電量販店界の巨人。いわばこのアリと象の戦いに、当然ながら町中のだれもがアリの完全敗北を予想しました。しかしそれから4年後、生き残っていたのはアリのほうでした......』

モコ
誰もが予想しなかった結末ですね!

あっきー
よくあるドラマの筋書きのように思うかもしれませんが、これは著者の江藤さんの身に実際に起こった出来事です。

本書には、江藤さんが絶体絶命の危機から得た教訓や学びがふんだんに盛り込まれています。このブログでは、個人商店が経済の荒波を乗り切るためのノウハウを8個解説していきます。このブログを読んで個人商店の戦い方がよくわかった、大手企業に負けない強みの見つけ方が理解できた人は、コメントください。

Contents

1.アイデンティティの確立。

規模の小さな会社が大きな会社と戦うためには、「自分が何者かを知る」ことが重要です。これを経営者の立場で考えると「自分の会社がどのような存在かを認識する」ということになります。中でも最も大切なことは、一貫したアイデンティティを持つことです。

よく時代劇に「駕籠かき屋さん」が出てきます。駕籠で人を運ぶ、現代でいうタクシー業のような人たちです。

あっきー
この駕籠かき屋さんは何をする仕事だと思いますか?

モコ
駕籠を担ぐことではないでしょうか!

あっきー
違いますよ、モコくん。

本質的には「駕籠を担ぐこと」ではなく、「人を運ぶこと」です。駕籠を担ぐのはあくまでその手段に過ぎないです。そのため、彼らは本来「人を運ぶ屋さん」というアイデンティティを持つべきです。

例えば、誰かが行きたいところに行けなくて困っているときに、駕籠が壊れていたとします。自分が何者かを知らない駕籠かき屋さんであれば、「今日は駕籠を担げないから無理だ」と断ってしまうかもしれないです。しかし、自分が「人を運ぶ屋さん」と認識していれば、そんな理由で断ることはないです。馬に乗せる、ロバに乗せる、車に乗せる、運ぶ方法は何でも構わないです。手段を選ばず、とにかく人を行き先に運び届けることが最優先になります。

アイデンティティを確立する
このように「人を運ぶ屋さん」であるというただ一点のみを目指し、貫き通すことがアイデンティティを確立するということ。

もしアイデンティティが違えば、目指すべきゴールも自ずと違ってきます。ゴールが違っていれば、進むべき道も異なります。そこを本質的に考えて、正しいアイデンティティを導き出し、意思の疎通を図ることが重要になります。

まとめ
■すべての経営者は自らのアイデンティティを見誤らないこと
→自分がどういった存在なのかをまずは明確に、正しく定めてください。そうでなければその会社はスタート地点にさえ立てないです。

確立されたアイデンティティが生み出すミッションや理念は、すべての価値判断を委ねる物差しになります。まずはアイデンティティを正しく確立させてください。

2.ミッションインストール。

自分が何者かがわかったら、次にしなければならないのはミッションインストールです。

モコ
ミッションインストール?
ミッションインストールとは
使命や任務のこと。要するに「何をすべきか」ということ。
順番は必ずアイデンティティの確立の後になる。

例えば、町においしいパン屋さんがあったとします。そのパン屋は売り上げが悪く、店主の奥さんは次のように考えました。

奥さんの考え:「焼きたてパンさえ食べてもらえれば、きっとみんな気に入ってくれるに違いない。だったら明日からお客さんの家にパンを配達しよう」

しかし店の主人は反対しました。

店の主人の考え:「パン屋はうまいパンだけ焼いていればいい」

それでも奥さんはあきらめず、手書きでチラシを作り、近所に配って周りました。それからポツポツと注文が入り始めます。

注文を受けるうちに「パン以外も食べたい」というリクエストがお客さんからありました。店の主人は大反対しましたが、奥さんは挫けることなく、おにぎりやちょっとした卵焼きなどの配達を始めると、大評判になりました。店の売り上げはぐんぐん伸びていき、結果としておいしいパンもまた、より多くの人に喜ばれることになりました。

あっきー
このとき店主と奥さんの違いは何だと思いますか?
店主と奥さんの違い
▼店主は自分のことを「パンを焼いて店に並べる屋さん」だと認識
▼奥さんは「おいしい朝ごはんを届ける屋さん」だと考えている。そのためパンだけにこだわらず、卵焼きや焼き魚など何でも提供できる。
→これが本質をついたアイデンティティ

これを踏まえると、奥さんのミッションは「世界中の人においしい朝ごはんを食べてもらう」ことになります。奥さんはすでに自分が何者で、何をすべきかを知っているため、迷うことなく進むことができます。おいしい朝ごはんを提供するのが自分である必要さえないです。ライバルがこちらのビジネスモデルを真似て、お客さんに朝食を届けてもいいです。とにかく、世界中の人々においしい朝ごはんを食べてもらうこと、それが最優先です。それだけを価値基準にあらゆる行動を決定していきます

まとめ
■「まずはアイデンティティを確立し、ミッションを定めて、自らの中に落とし込む」
これを会社という領域で当てはめたものが、いわゆる経営理念

経営理念が創出されてはじめて、会社は真の会社になり、世界に羽ばたくことができます。アイデンティティを確立した後は、必ずミッションを定めてください。

3.経営理念を浸透させる。

経営理念を決めたら、スタッフに浸透させる必要があります。

具体的な方法
1.まずはスタッフに理念を丁寧に説明する
2.そこから自分が誰なのかを定義させること
3.余計な迷いが生じないように、しっかり理解してもらうことが大切
→そうすることで、目的意識が育つ土壌を作る

それができた後は朝礼や夕礼、会議など、あらゆる場面で経営理念を繰り返し伝え続けるしかないです。

  • 今日の活動目的は何なのか
  • 今日何のために自分たちがここに集まり、今日どういう価値を提供できるのか

これを毎日欠かさず意識させることです。しつこいくらいに言い続けると、その積み重ねで、次第に意識そのものが変わってきます。

最後は必ずスタッフの中で使命感や責任感が生まれてきます。そのため、経営理念を、ミッションを、アイデンティティを、スタッフ一人ひとりの血肉、DNAになるまで何度も何度も確認しあっていくことが重要です。それを積み重ねていくことで、スタッフ一人ひとりの目指すところがただ一点に絞られてきます。個人個人のバラバラな思いが1つのベクトルへと向かい、それぞれの力が集中して、何倍にもなって発揮されます。

モコ
この状態を目指して、経営理念をスタッフに浸透させる行動をとろう。

4.盲点に着目する。

小さな企業が大企業と戦うためには、差別化を図ることが大切です。江藤さんが経営する家電量販店「カデンのエトウ」では、経営理念に基づいた具体的なサービスとして差別化を実践しています。

例えば
家にエアコンを取り付けるとき、工事のやり方によってその後のコンディションが大きく変わってきます。これを知らずに後から泣きを見る人が多いです。大手量販店などは、下請け業者にどう安くやらせるか、ここに注目しています。

あっきー
江藤さんは、このような盲点にこそ勝機があるといいます。

一般的にエアコンを買うとき、取り付け工事も同時に依頼しますが、お客さんは大抵どこの誰が工事をやるかなど気にしていないです。なぜなら誰がやっても一緒だと思っているからです。しかしそれは違います。このような作業は、手を抜こうと思えばいくらでも抜けます。恐ろしいのは、手抜きもそうでない工事も外から見ただけではわからないところです。ある程度の年月が経過して、初めてその違いが出てきます。

例えば
エアコンの室内機と室外機を結ぶ配管の中には冷媒というガスが循環しています。ここにゴミが入るといけないので、まっとうな業者であれば、真空引きという方法で10分ほどかけて設置します。しかし効率重視の業者は、この工程をわずか数秒で済ませるエアパージという裏技を使います。早くて楽ですが、設置から3年もすれば冷えにくくなったり、ガスが詰まったりしてしまいます。このように同じエアコンを買っていても、設置業者によって耐久性がまるっきり異なります

そういう意味では、下請け業者を使う大手量販店よりも、カデンのエトウのような地域密着型店のほうが有利だね。

大企業が手のまわらないところで戦うことができます。このように、他の店がなおざりにしている分野で差別化を図り、盤石の信頼を勝ち取っていくことが非常に大切です。ライバルがカバーできていない盲点を探るようにしてください

5.曖昧さのない充実の保証システム。

小さな家電屋さんが大手量販店と勝負できる分野は、取り付け工事だけに限らないです。カデンのエトウでは、保証とアフターケアについても大手に勝てると考えました。

一般的にどこの家電量販店にも、安心保証制度のようなものがあります。今では5年や10年といった長期延長保証が当たり前になっていますが、これは客寄せのためになんちゃって保証という場合がほとんどです。

あっきー
そのため、いざとなったら聞いていた話と違うといったトラブルになることも多いです。

 

まず大前提として、家電製品の保証システムには、保証対象外が山のようにあります。

  • 間違った使い方が原因の故障
  • 工事不良
  • 設置不良
  • 天変地異や不慮の事故による故障

などです。対象外の方が多くて、保証を付けるメリットはあまりないです。「使い方が間違っている」などの曖昧な表現は他にもたくさんあり、よく読めば抜け穴だらけの文章になっています。

他にも要注意なのが修理業者とのやりとりです。修理業者とのやりとりはとても時間がかかります。当然そのあいだ壊れた家電は使えないです。掃除機ならホウキで代用できますが、冷蔵庫や洗濯機はそうもいかないです。

あっきー
このような状況を踏まえた上でカデンのエトウは、他とは一線を画す保証システムを構築しました。

その保証システムの特徴は4つあります。

  • 第1にカデンのエトウは、独自の基準で選んだ故障しにくい高品質の家電しか売らないです。
  • 第2に、家電の正しい使い方とメンテナンスの仕方をお客さんに徹底的にレクチャーします。
    →家電トラブルを避けるためのポイントは、正しい使い方をすることだから
  • 第3に、保証から曖昧さをなくします。
    →どうとでも取れる、一般的な契約書や説明書にありがちな、最終的にお客さんが不利になるような言葉遣いは一切しない
  • 第4に、故障した家電製品の修理が終わるまでの間、同等の家電を無料で貸し出します。

モコ
これこそが大手にできない充実した保証システムだね。参考にしよう。

6.100点満点を貫く。

大きな企業に勝つために楽な道は絶対にないです。電気屋に限らずどんな商売でも、全精力を仕事に注がなければならないです。100点満点のサービスをし続け、100点満点の信頼を獲得し続ける。そうでなければ、経営はうまくいかないです。

あっきー
偉大な経営者と言われる人々は、間違いなくそういう道を歩んできています。

小さいとか弱いとか悩む前に、まずは心から信じられる理念を構築してください。それさえあれば、きっとどこででも誰とでも戦えるようになります。業種は関係ないです。町のちっぽけな商店には、その優位性がありポテンシャルがあります。「自分が小さいから弱い」と思い込んで思考停止になり、大きな波にさらわれてしまうのはつまらないことです。固定観念をぶち破ってください。

大企業と争うときの活路を見出すには
■まず相手と自分との差異に気づくこと。
→どのような違いがあるのかが明確になれば、必ずどこかに優位性を発見することができます。そうすれば差別化が図れます。

例えば、所帯の大きなお店だと売り場ごとに店員が違ったり、異動があったりして、なかなか顔なじみになるのは困難です。

一方で、小さなお店ならいくらでも融通が利きます。医者でいう「ホームドクター」のような存在になれます。こうすることで自らの存在を特化させて、道を切り拓くことができます100点満点を貫く、これを意識してください。

7.価値を提供する。

あっきー
価値を提供できる商品は、今人気の時短家電に限らないです。

例えば、1人のお客さんがテレビを買いに来たとします。このお客さんはなぜテレビを買いに来たのか?「テレビが欲しいからに決まっている」と吐き捨てるのは簡単ですが、頭の中でしっかり考えてください。

  • テレビが壊れたので買い替えたい
  • 家を引っ越したついでに新しいテレビにしたい

など、様々な理由があると思います。お店側が考えるのはそこから先のことです。

今目の前にいるお客さんが、テレビを通してどんな満足を得ようとしているのかにフォーカスします。例えば、とても高価な大画面のテレビがリビングにやってきたことで、子供とコミュニケーションを取る時間が増えたと感謝してくれるお客さんがいます。

あっきー
家族が1つの空間に集まって時間を共有するというのは、原始時代に洞穴の中に住んでいた頃から人間がずっとやってきたことで、自然な状態です。その代役をテレビが担っています。

このように家電製品はいろいろな価値を提供してくれます。お金が余計にかかったとしても、それによって得られる家族団らんや絆はプライスレスです。お客さんが無意識のうちに欲しているニーズにフォーカスし、隠された価値を探し当てて提供することが大切です。

モコ
自社がどんな価値を提供できるか、じっくり考えてみよう。

8.ネット販売との戦い。

あっきー
アマゾンを始めとするネット販売は、自営業のお店にとって大きな脅威です。

しかし、このような脅威にも勝機を見出すことができます。価格的には割高になるものの、買うときの安心感やアフターサービスという点にはおいては、確実に勝てるからです。

家電の場合は、人が作ったものである以上、いつか必ず壊れます。家電がある限り、修理やメンテナンスが必要になります。今この瞬間も、間違いなくどこかで家電が故障しています。多くの分野で、AI化やクラウド化が進み、時代や人のあり方が変わっていくとしても、人の暮らしがあるかぎり家電がなくなることはないです。

そうであれば、小さな電気屋が生き残る道も必ずあります。このようにポジティブに考えて、競合との棲み分けをすることが大切です。自社にしかできない優位性を見出して、そこにフォーカスした戦略をとってください。

まとめ

解説は以上です。昨今、大型量販店やフランチャイズは資本力にものを言わせ、小さな会社や個人商店を一掃しながら出店を続けています。そして利益が上がらないことを察すると、安易に撤退し、後に取り残された地域には何も残らないです。地域全体が負のスパイラルに陥ります。

信念さえ曲げなければ、どんな困難もきっと乗り越えられます。小さな会社の経営者も同じです。個人商店の魅力やポテンシャルをしっかり理解し、自社に合った戦略をとっていってください。今回の解説が勉強になった、学んでみてよかったという人は、コメントください。

『常識をくつがえせ! 小さいは、強い 町の電気屋 VS 巨大量販店1450日の攻防』
1.アイデンティティの確立。
2.ミッションインストール。
3.経営理念を浸透させる。
4.盲点に着目する。
5.曖昧さのない充実の保証システム。
6.100点満点を貫く。
7.価値を提供する。
8.ネット販売との戦い。

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