こんにちは、あっきーです!
日本人は平均で男性なら約81歳、女性なら約87歳まで生きると報告されています。しかし、多くの人にとって「生きる」に加えてもう一つ大切なことは、「元気に自立して生きる」ということです。
実は日本人の健康寿命は、男性なら約72歳、女性なら約75歳と報告されています。つまりこれは、日本人が平均的に最後の約10年を、支援や介護を受けて生きているということです。
しかし、できれば最後まで人の助けを借りずに健康に暮らしたいと思う人が多いと思います。
では、最後の10年も元気に生きるために何ができるのか?
これを5つのコンセプトに整理したのが「5つのM」です。この考え方は、2017年にカナダ及び米国の老年医学会から提唱されました。
- Mobilityモビリティ(からだ)
- Mindマインド(こころ)
- Medicationsメディケーション(くすり)
- Multicomplexityマルチコンプレクシティー
- Matters Most to Meマターズモストトゥミー(いきがい)
この5つの頭文字から来ています。これらは現在、米国で高齢者を診療する基本方針とされています。
日本ではまだ浸透していませんが、5つのMはただ高齢者の診療に活用できるだけでなく、より若い世代が上手に歳を重ねる上での指針にもなります。
このブログでは、最高の老後を過ごすために意識すべきポイントを8個解説していきます。
このブログを見て健康寿命を延ばすために大切なことがわかった、老後について考えるきっかけになったという人はコメントください。
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Contents
5つのMとは何か。
米国の老年医学会が提言する健康な老後に不可欠な「5つのM」について、1つずつ解説します。
Mobility(モビリティ)
Mobility(モビリティ)は「身体がどのくらい動けるか」を指します。
若いうちは自由に動き回ることができた人でも、歳を重ねると杖や歩行器が必要になることがあります。また車椅子生活や寝たきりになる人もいます。
必然的に転倒のリスクも増加するため、身体の機能に合ったサポートを活用したり、転倒を未然に防いだりする視点が大切です。
Mind(マインド)
Mind(マインド)は「認知機能や精神状態」を指します。
認知症やうつ病は、高齢者でよく問題になる病気です。いくら体が元気でも、脳や心が元気でなかったら結局体の具合が悪くなり、人の助けが必要になります。
また、高齢者は他の世代よりも自殺率が高いという特徴もあります。脳や心の健康についても、予防を考える必要があります。
Medictions(メディケーション)
Medictions(メディケーション)は「くすり」のことです。
高齢になると、多くの人がたくさんの薬を飲むようになります。
持病がある人にとって、どうしても飲まなければならない薬はありますが、一方で、やめられる薬があるにもかかわらず、それに誰も気がつかずに続けられてしまっているケースがあります。
薬と上手に付き合っていくことも、歳を重ねる中で大切になっていきます。
Multicomplexity(マルチコンプレクシティー)
Multicomplexity(マルチコンプレクシティー)は「多様な疾患を抱えた状態」を指しています。ここでは「予防」という言葉を当てました。
歳を重ねていく中で、生活習慣病やがん、感染症、心臓の病気など、様々な病気のリスクが増えていきます。ただし、工夫をすれば未然に防げる病気もたくさんあります。このような多様な病気を防ぐためにできること、また病気との付き合い方について考えていくことが大切です。
5つ目、Matters Most to Me(マターズモストトゥミー)。
これは「あなたの人生にとって何が最も大切か」という視点です。「いきがい」とも言い換えられます。
考え方は人はそれぞれ違います。寝たきりになってでもとにかく長生きすることが大切と考える人がいる一方、誰にも依存しない生き方こそが大切だと考える人もいます。
このように、一人ひとりの生きがいに目を向けることも大切なポイントです。
以上が5つのMです。これらを頭に入れた上で、この後の解説を読んでください。
運動の健康効果。
健康な身体を維持するために最も有効な方法は、言うまでもなく運動です。
運動は体に良いと言われますが、具体的にどう体に良いのか。これについては、多くの研究が行われてきました。
「リスク低下」という点で言えば、運動は死亡、心血管疾患、高血圧などの低下と関連します。また、肺がん、乳がん、膵臓がんなど、少なくとも8種類のがんのリスク低下との関連も示唆されています。
さらに、運動はただ病気のリスクを下げるだけでなく、身体機能はもちろんのこと、認知機能や生活の質、睡眠の質を改善してくれる効果も期待できます。
イギリスで40歳以上の約63,000人を対象として行われた研究では、全く運動をしていない人に比べて、週末だけ運動をしている人は死亡リスクが約6~7割に減少することがわかりました。
つまり、全く運動しないよりは、少しでも運動した方が良いということになります。
運動と栄養は両輪。
健康や身体の機能の維持に運動が大切と言いましたが、実際にはただ運動をすればいいというわけではないです。
では、適切な栄養とは何か。
例えば、30代や40代の人は食べ過ぎが問題になることが多いです。これが原因で高血圧や糖尿病を発症すると、病気の治療として食事制限が必要になります。
つまり、適切な栄養とは、過剰な栄養摂取を避けることです。
一方、高齢になると、今度は痩せや栄養不足の方が問題になります。歳とともに持病を抱える確率も上がるため、健康に気をつけようと意識して、自ら食べれるものを制限してしまうこともあります。
「健康を維持する」といっても、その意味は年齢や持病によって変わってきます。
肥満がある人にとっては、食事制限が健康な食事ですが、痩せている人にとっては、食事をたくさん食べることが健康な食事になります。
しかし、残念ながら巷に溢れる健康情報はそれを区別してくれないです。
本来は個別性が高い健康をまとめて、「糖質制限で体も心も健康に」「ケトジェニック健康法」などと、まるで万人に有効なように語られてしまいます。
医師と相談の上、自分に合った健康法を試すようにしてください。
認知症の予防法。
今や65歳以上の約5人に1人は認知症です。
「認知」とは、人が学習する、記憶する、言語を用いる、計画したことを遂行する、自分の置かれた状況を認識するという機能のことを指します。
これに対し「認知症」というのは、これらの能力のうち1つ以上が生まれつきではなく、大人になってから衰退し、日常生活を自立して送れなくなった状態のことです。
認知症には、確かな科学的根拠のある予防法はないのが現状です。認知症の原因は完全に明らかになっておらず、予防も治療もまだまだ改善が必要です。
ここでは認知症の発症と睡眠の関連性について解説します。
2021年に報告された8000人を対象とする睡眠と認知症に関する研究では、平均睡眠時間が4時間、5時間、6時間と伸びるにつれて、認知症のリスクが低下していくことがわかりました。ただし、7時間以降についてはほとんど横ばいです。
したがって、7時間より睡眠時間が短いほど、認知症を発症するリスクが増えるといえます。
ただし、この研究は必ずしも因果関係を示すものではないです。未知の条件がはたらいている可能性もあります。
まだわからないことも多くありますが、認知症を防ぐ上で、十分な睡眠をとることは意識するようにしてください。
うつ病の予防法。
高齢者のうつ病は、特に治療を抱えた人に多い問題で、脳卒中や心筋梗塞など、特定の病気を持った高齢者では4割を超える人に発症するという研究もあります。
うつ病の予防は認知症と同様に、何か劇的に有効な方法が存在するわけではないです。ただし、塵も積もれば山となると言われるように、小さなことの積み重ねが効果的になる可能性はあります。
例えば、うつ病のリスクとなるような持病を抱えた高齢者が、体と心の相関について学んだり、リラックスの技術、課題解決法、不眠、栄養、運動などに関する指導を受けたりした場合、自己効力感が高まり、うつ症状や不安、痛みや不眠などの症状が軽減されることが報告されています。
忙しい社会人にとっては難しいかもしれないですが、すきま時間を使った瞑想やリラックスのための呼吸法などを身に付けておくと、将来うつ症状を減らす可能性につながります。
この研究では、様々な量のカフェインを摂取している物症状のない女性約50,000人を対象に、10年間のカフェイン摂取量やその他の食事摂取の変化を追跡調査しています。
この10年間の追跡調査の中で、全体で2607人にうつ病発症が確認されました。
ただし、週に1杯以下のカフェイン入りのコーヒーを飲む女性と比較して、1日に2から3杯のカフェイン入りのコーヒーを摂取する女性は、うつ病のリスクが減少することがわかりました。
このことから、少なくとも女性には、カフェイン入りのコーヒーを飲む習慣がうつ病に効果的な可能性があります。飲み過ぎは禁物ですが、コーヒー好きには朗報だと思います。
薬を取りすぎない。
薬は適材適所で使うことで、大きな助けになります。人の寿命が劇的に伸びたのも、薬の開発の歴史なくしては語れないです。ただし、薬が増えすぎる場合には注意が必要です。
65歳以上の約3人に1人は、5種類以上の薬を毎日飲んでいます。
例えば、持病があり内科に通っている人が、腰や膝が痛くなり整形外科も通い始めると、医療側のプレイヤーが2人に増えます。また、心筋梗塞を発症し、心臓の専門家も必要になれば、プレイヤーは3人になります。
このような場合、3人の医師の間でしっかりコミュニケーションがとられていれば問題ないですが、多くの場合そうではないです。似たような薬が複数処方されてしまったり、相性の悪い薬がそれぞれ処方されてしまうことがあります。
また、担当の医師が変更になった時、以前から飲んでいた薬が不要になったにもかかわらず、気づかずに続けてしまうことがあります。
だからといって、臓器の数だけ医師にかかるというわけにもいかないです。このため、特に修理が必要な臓器だけを専門家に任せて、残りの部分はかかりつけ医に任せるという形にするのが理想です。
これは薬の管理という点でも大きなメリットです。薬のとりすぎ問題は、各専門家と連携をとりながら横断的にその人全体を見るかかりつけ医が存在することで、防げる可能性が格段に上がります。
さらに、かかりつけ薬局があると医師のミスをダブルチェックできます。複数の病院にかかる場合には、かかりつけ医やかかりつけ薬局を決めるようにしてください。
健康診断を活用する。
病気の予防を考える用は「予防医療」と呼ばれ、最近注目されるようになってきました。
あなたが毎年受けている一般健康診断というのは、その実施が法律で義務付けられています。身長や体重の測定から血圧の測定、貧血検査、血糖検査、心電図検査など、身体の状態を横断的に見ていきます。
ただし、この診断からわかることには限界があります。
異常がないかをざっくりするために使われるのが健康診断です。そのため、健康診断で異常が出たら、必ず二次健康診断を受ける必要があります。
つまり、ここで異常と出たから病気がある、治療が必要であるということではないです。
経過観察のみで良い場合もよくあります。ただし病気の可能性もあるため、健康診断で異常と出た場合には必ず二次健康診断を受けるようにしてください。
人生会議を行う。
人生会議とは、「もしものときのために、あなたが望む医療やケアについて前もって考え、家族や医療、ケアチームと繰り返し話し合い、共有する取り組み」のことです。
人生会議の意義は、この会議によって、人生の最後に本人の代わりとなる家族や友人、医療者が、本人のために本人の望む治療の選択ができ、より本人の意思に沿ったケアが医療機関で提供されることにつながるだろうというものです。
しかし、厚生労働省のデータによれば、人生の最終段階に起きる医療について、家族や医療介護関係者と「詳しく話し合っている」と答えた人は2.7%にとどまります。人生会議を行わないことは、不幸を招く原因になります。
ここで大切なのは「生きがい」です。生きがいは、その存在自体が健康や長生きにつながるかもしれないというデータがあります。
例えば、日本で2000人弱の高齢者のデータを分析した研究では、趣味と生きがいの両方を持つと答えた人は、趣味も生きがいもないと答えた人と比較して、死亡率の減少が見られたり、日常生活の自立レベルが高かったりと、その関連性を報告しています。
まとめ
高齢者の中にも元気に長生きをする人、思うように体を動かせない人、言葉を話せない人など、年齢は同じでも老後には大きな差があります。
加齢は全員に等しく起こります。それを止めることは誰にもできないです。しかし、老化は違います。老化は人により大きく異なります。あのときこうしておけば、と後悔しないために、最高の老後を送るために、このブログで学んだことを一つ一つ実践に移してください。
今回の解説が勉強になった、健康に生活するためのモチベーションになったという人はコメントください。
- 5つのMとは何か。
- 運動の健康効果。
- 運動と栄養は両輪。
- 認知症の予防法。
- うつ病の予防法。
- 薬を取りすぎない。
- 健康診断を活用する。
- 人生会議を行う。
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