「60歳を過ぎたらやってはいけない資産運用」 西崎 努

こんにちは、あっきーです!

あっきー
資産運用の大きな分かれ道は60歳です。

モコ
それはなぜでしょうか?

なぜなら、リタイアが視野に入ってくる年代だからです。60歳というと、かつては高齢者のイメージがありました。でも、今は違います。今は50代から70代の活動的なシニア世代が多く、80歳以降でも元気な人がたくさんいます。

しかし、今後20年、30年と暮らしていくうえで、気がかりなのが健康とお金です。平均寿命だけでなく、健康寿命も延びているため、その分必要なお金も増えることでもあります。60歳を過ぎる頃には、それまで築いてきた貯蓄のほか、退職金や相続財産など、まとまった資産を持っている人が少なくないです。

一方、定期的な収入は現役時代より減り、年金が中心となっていきます。また、手元にある資産を、どうしていけば安心して暮らしていけるか、悩んでいる人が多いです。

60代の運用状況
「やってはいけない資産運用」になっているケースが驚くほどたくさんある
■無駄にリスクが高くなっている
■払わなくていい高いコストを払い続けている
■大きく損をする危険性さえある投資をしている

今回は、60歳からの資産運用で失敗しないための方法を6個解説していきます。このブログがタメになった、参考になった人は、是非コメントをお願いします。

Contents

1.シニア世代にトラブルが多い理由を知る

シニア世代の投資をめぐってトラブルが多い理由は次の3つです。

▼一つ目

一つ目は、金融機関から提案される金融商品や金融サービスが、年々複雑な仕組みになってきていることです。単純に「株式」や「債券」「保険」といったくくりでは捉えられなくなっていて、どんな仕組みで利益が出るのか、あるいは損失を被るのか、理解するのが非常に難しくなっています。

あっきー
個別にどのような仕組み、条件になっているのかをきちんと調べ、リスクとリターンの関係を分析してみないと、本当に自分の希望やニーズに合ったものかどうかが判断できないです。

 

▼二つ目

二つ目は、顧客側の知識不足、準備不足がなかなか解消されないことです。最近でこそ、国をあげて貯蓄から投資へと促したり、NISAやiDeCoを広く推奨したりして「資産形成」という言葉が一般に浸透してきました。

モコ
少しずつ学校でも金融教育が導入されてきているね!
一方、シニア世代
十分に金融リテラシーを身につけられる機会が少なく、お金の使い方が貯蓄に偏っている
→投資や運用には、「難しい」「怖い」「素人がやるものではない」といったイメージを持つ人も少なくない

今ではインターネットで検索すれば多くの情報が手に入りますが、70代、80代にもなると、ネット検索自体が馴染まない人も多いです。そのため、つい金融機関の窓口を頼り、担当者がオススメする商品を買ってしまいます。

あっきー
ここに落とし穴がある場合が多いです。

 

▼三つ目

三つ目は、銀行や証券会社などの金融機関の担当者も、運用のプロではなく、販売のプロであることです。金融機関が顧客に勧める商品やサービスは、担当者レベルで自由に選べるわけではないです。担当者には会社から課せられた予算というノルマがあります。支店ごとに、売っていく商品や売上の目標が設定されているのが普通です。それに対する貢献度が社内評価やボーナスに反映されます。サラリーマンとして、設定された目標に従うのはごく自然なことです。

彼らにとって、数千万円という退職金や、コツコツ貯めてきた貯蓄を持つシニア世代は超優良顧客です。この3つが重なり、シニア世代の間で「やってはいけない資産運用」が猛威を振るっています

2.「テーマ別投資信託」に手を出さない

「テーマ別投資信託」とは
特定のテーマに基づいて、組み込む銘柄を選定してる投資信託
▶︎選ばれるテーマとは:最近では「5G」「AI」「DX」「ヘルスケア」など、これから期待される先端技術や社会情勢を反映したものが目立つ

「テーマ型別資信託」はアクティブファンドの一種で、社会的に話題のテーマを取り上げるので投資初心者にも分かりやすいとされます。

テーマ型別資信託のデメリット
■話題性を重視するばかりで中身が伴っていない
■銘柄を分散投資するあまり、テーマとの関係性が薄い銘柄が組み入れられていたり、分散しすぎているケースもある
→同じような名称のテーマ型投資信託でも、投資している銘柄が違う場合もあるので、しっかり中身を吟味して選ばなければならない

また、テーマ別投資信託は市場全体から有望な銘柄を選ぶのではなく、特定のテーマに沿った業種に絞って投資します。最初から特定のテーマに関連した銘柄に絞ること自体、ブームが終わるとパフォーマンスを悪化させる要因になりやすく、短命に終わることにつながります。売り出されたころにはピークを過ぎていることも多々あります。

あっきー
発売時期が投資先としてふさわしくないことが多いです。

それなのになぜ、いつの時代も「テーマ別投資信託」が出てくるのかというと、投資家にとって分かりやすいからです。テレビやニュースでもよく取り上げられているテーマは、投資の経験がない人でも馴染みがあります。販売する側も「最近、話題の・・・」と言えば済むので売りやすいです。

さらに、「テーマ別投資信託」はその時々の話題のテーマを取り上げて定期的に新しく作られます。過去に実績がない投資信託は様子見するのが正解です。トータルで見るとデメリットが大きい「テーマ型投資信託」には手を出さないことをオススメします

3.変額個人年金保険・外貨建て生命保険に手を出さない

さまざまな金融商品の中でも「保険」はある意味、特殊です。ほとんどの金融商品は投資した資金を増やすことが目的ですが、保険はケガや病気、そして死亡といった予期しない人生のアクシデントに備えることが本来の目的です。

保険の仕組み
保険はあらかじめアクシデントの際に受け取れる金額が決まっている。それまでに支払った保険料に関係なくその金額が受け取れる。
→たくさんの人から広く薄く保険料を集めているため成り立つ

あっきー
しかし、保険商品の中には、こうした保険の仕組みとセットにする形で、払い込まれた保険料の一部を株式や外国通貨建てで運用するものがあります。

変額個人年金保険

まず、「変額個人年金保険」ですが、これは契約者が支払った保険料の積立金の一部を運用するものです。運用が上手くいけば通常の保険商品より受け取る保険金額は多くなりますが、上手くいかなければ支払った保険料より受け取る保険金額が少なくなることもあります。

つまり、運用実績によって、受け取れる金額が変わると、本来予定していた老後の資金などが目減りする可能性もあります。確実に決まった保険金額を用意しておきたいなら定期保険を活用すべきです。

▼外貨建て生命保険

そして、「外貨建て生命保険」ですが、これは保険料を米ドルやオーストラリアドルなどの外貨で支払い、保険金なども外貨で受け取れる保険商品です。日本より金利が高い外貨で運用されるので、外貨建て保険の方が保険料が安くなっています。

ただし、円を外貨に替えて保険料を支払ったり、外貨で受け取った保険金を日本円に替えたりするには為替手数料がかかります。また、為替リスクもあります。そのほか、仕組みが非常複雑なものが多く、予定利回りや途中解約の際の扱いにおいて、契約者側に不利なケースも少なくないです。

あっきー
特に銀行での契約は、損をする可能性を理解しないまま、「銀行だから」「保険だから」大丈夫と、なんとなくの印象で契約してしまっているケースもあり、後日トラブルになることも少なくないです。

そもそも保険の主目的は万が一の保障、つまり保険金です。公的保険で十分であるなら民間保険に加入する必要はないです。

4.不要な金融商品、金融サービスを見抜く

シニア世代をはじめ多くの投資初心者が基本とすべきは分散投資、そして許容できるリスクに沿った適切なリターンです。欲張って高いリターンを目指すのは間違いのもとです。

あっきー
必ずといっていいほど、株式市場が調整するタイミングで大切な資金を減らすことになります。

 

これを踏まえて、シニア世代や初心者が警戒すべき金融商品・金融サービスの見抜き方について、3つのポイントを紹介します。

▼1.リスクや失敗時の話より、良い話ばかりする

商品の販売に力を入れている営業員は、人の心に入り込むのが上手です。「損をしないで儲けたい」という投資家の心理を巧妙についてきます。

そもそも投資とは
何らかの投資対象に資金を投じ、利息などの収益と売却時の値上がり益のトータルでプラスを目指すもの

投資では、「元本保証」はありえないため、お客様が許容できるリスクを適切に説明し、良い話よりむしろ、どういったときに損をすることが想定されるのか、悪い話を重点的に話すべきです。

モコ
自分にとって良い投資といえるかをしっかり考えよう。

また、投資における大原則として「リスクとリターンは比例する」というのがあります。

リスクとは
ここでいうリスクとは、投資対象の市場価格が変動すること、価格の変動率を指す

価格変動によってリスクとリターンが一時的に乖離することもありますが結局は一定のところに落ち着きます。是非、頭に入れておきましょう。

▼2.コストの説明が曖昧で、運用中の費用がはっきりしない

投資信託の場合は、信託報酬など、運用中にも継続して手数料などのコストが発生します。こうした費用の負担額は当然、運用成果にも影響してきます。特に長期投資においては運用コストにもっと敏感になるべきです。期待リターンが6%だったとしても各種コストが2%かかっていれば、実質リターンは4%です。この2%の差が、5年後や10年後に大きな差につながります。

あっきー
長期投資をうたう金融商品や金融サービスであれば、投資家に対して運用コストをきちんと説明すべきです。

しかし実際には、営業員も販売時の手数料は明示していても、運用中の費用については簡単に伝えるだけで、説明を怠っていたりします。中には「販売手数料ゼロ」を大きく掲げ、割高な運用コストや解約費用の隠れ蓑にしているような商品もあります。運用コストの目安は、長期投資が前提であれば元本の1%以内にするのがオススメです。

▼3.過去実績の良い結果が、将来も続くかのように提案してくる

投資に「絶対」はないです。金融機関に勤める営業員であれば、運用成果を確約したり、断定的な判断を伝えたりする提案が、「誤認勧誘」といって処分対象になります。そのため、説明には注意を払っています。

しかし、過去の実績を見ると、今後の運用に期待しやすくなりますし、「実績」という安心感があります。心理的にも、「過去実績ほどうまい話はないだろうけど、それなりに良い結果は出るだろう」と楽観的になりやすくなります。

あっきー
このように、過去の実績や広告に惹かれて投資する人は少なくないです。

しかし、市場平均以上の成果を出し続けることは、そもそも非常に困難です。このことを忘れないでください。

また、高すぎるリターンを謳う商品やサービスには必ず「高いリスク」があると考えないといけないです。過去の実績をもとに高すぎる期待リターンを強調している場合は注意が必要です。

5.債券投資を検討する

資産をなるべく減らさない安定運用を求めるシニア世代ならば、基本は債券が中心になります。

投資のプロの世界
▶︎一般に資産を増やす目的なら「株式投資」
▶︎安定した運用を求めるなら「債券投資

若い世代は資産形成、シニア世代になると資産運用・管理へと投資の目的が変わってきます。そのため、それに合わせて年齢とともに株式中心から債券中心へと比率を変えていくことが大切です。もっと年をとって資産が十分にあれば、あとは現金中心の配分に切り替えていくことになります。

あっきー
必要のない投資をして、無駄なリスクを負うことはないです。
債券投資
■ある程度まとまった余裕資金があるなら、手間をかけずに安定的な利息収入を得ることができる。
■少額で投資しても金額的なリターンがあまり期待できない。
→投資金額が大きいほど有用

債券投資は、大衆メディアではあまり注目されないです。マスメディアでは、手堅い投資よりも、リスクがあっても高いリターンが期待できる、少ないお金で大きく儲ける、といった話題の方が好まれます。このような背景があり、債券は一般になじみの薄いものになっていますが、金融の知識がある人にとっては、非常に有効な運用手段として知られています

債券投資は、あらかじめ返済の期日と利息を決めてお金を貸すものです。期日が来れば貸したお金は返ってきますし、その間の利息は期待通りに受けることができます。基本的に、最初から満期保有した場合のリターンは分かっています。

あっきー
あまり面白い投資とは言えないかもしれないですが、相対的に手堅い投資といえます。
安定的な成果を継続させるコツ
どこまでも高いリターンを追求するのではなく、目標リターンに対して適切なリスク、できれば低いリスクで運用すること

特にシニア世代にはオススメです。

6.やってはいけない3つの債券投資を知る

債券投資は、株式投資と比べるとローリスク・ローリターンといえますが、一方で預金と比べると高い運用成果が期待できます。ただし、債券投資の中にも、意外にハイリスクな商品や、実はリターンとリスクが見合わない商品など「やってはいけない」ものもあります。特に注意しなければいけない商品は次の3つです。

▼1.高コストな投資信託での債券投資

債券は運用コストがかからないのも魅力の一つです。しかし、「債券に投資する投資信託」の場合は別です。この場合、コストが1.5〜2.0%程度かかってきます。そうなると、利息収入よりもコストの方が大きくなる場合もあり、割に合わない投資になってしまいます。

あっきー
コストがかかっても利益が出ればいいと考える人もいますが、長い年数をかけて運用することが前提の債券投資では、かなりの非効率な運用になるためやめてください。

▼2.高金利の新興国通貨建て債券

新興国通貨は5%や10%を超える金利がつくことも珍しくなく、ついそれだけの金利がもらえるならと投資してしまう人がいますが要注意です。金利が高いことには、それなりの理由があります。

新興国は高いインフレ率や対外債務の多さによって通貨安になりやすく、もらえる金利以上に円高で大きな損失を被っているケースが少なくないです。表面上の名目金利だけでなく、物価変動率も考慮した実質金利を見ておかないと、痛い目を見ます。新興国は先進国に比べて政治や経済が不安定です。

モコ
シニア世代の人が投資先として選ぶべきなのか、慎重に検討しよう。

 

▼3.EB債(他社株転換可能債券)

EB債とは
個人が資産運用に使うには難易度が高く、リスクを誤解したまま投資しやすい仕組債と呼ばれる商品

仕組みが非常に複雑で、株価が大きく値下がりした場合は大損する可能性もあります。

分かりづらい商品になんとなく投資することは、シニア世代にとって最も避けるべき「やってはいけない」投資です。

まとめ

解説は以上です。もしかしたら、一度聞いただけでは理解しきれなかったり、「難しい」「どうしたらいいのか」と感じたりしたかもしれないです。でも、心配はいらないです。その「分からない」という感覚や「具体的なやり方」を知ろうとする姿勢が大事です。

これからも新しい商品やサービスが作られていくと思いますが、理屈が理解できなければ、それは「やってはいけない」ものです。紹介した6個のアクションプランを実践して、安心な資産運用や資産管理をしていってください。今回の解説が良かった、タメになった人は、コメントをお願いします。

「60歳を過ぎたらやってはいけない資産運用」
1.シニア世代にトラブルが多い理由を知る
2.「テーマ別投資信託」に手を出さない
3.変額個人年金保険・外貨建て生命保険に手を出さない
4.不要な金融商品、金融サービスを見抜く
5.債券投資を検討する
6.やってはいけない3つの債券投資を知る

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